Jaco Pastorius
Jaco Pastorius(1976)
- Donna Lee
- Come On Come Over
- Continuum
- Kuru / Speak Like A Child
- Portrait Of Tracy
- Opus Pocu
- Okonkole Y Torompa
- (Used To Be A) Cha-Cha
- Forgotten Love
- (Used To Be A) Cha Cha*
- 6/4 Jam*
*Previously Unreleased Tracks
デビュー盤でありながら最高傑作!
圧倒的なテクニックと音楽性に触れるジャコ入門盤。
ジャコ・パストリアスのソロ・デビュー盤。超絶的な演奏に誰もが耳を疑ったパーカッションとのデュオ《ドナ・リー》。その終了後、間髪入れずに《カムオン・カムーオーバー》のイントロが入る瞬間はいつ聞いても鳥肌モノ。《コンティニューム》、《ポートレート・オブ・トレイシー》といったフレットレスベースのために書かれた曲の美しさについては今さら言及する必要はないだろう。ジャズ、ファンク、カリビアン、シンフォニーがバランスよくパッケージされ、それらの曲の配し方の妙もまた良し。
ハービー・ハンコック、サム&デイブ、デビッド・サンボーン、マイケルブレッカー、ランディ・ブレッカー、オセロ・モリノウ、ドン・アライスなどビッグネームが多数参加。ハンコックについては、各曲のソロパートの与え方でリスペクトの度合いがわかる。《スピーク・ライク・ア・チャイルド》では、ジャコの疾走に全力で応えているし《ファゴトン・ラブ》ではハンコックのために作曲し、彼にしかソロを与えていないことからもリスペクトの度合いがうかがえる。
共演者の多彩さは穿った見方をすれば、ややコマーシャリズムに走っているようにも感じられるが、いくら良い演奏ができても初めは新人、ビッグネームとの共演がないと話題にもならないし、プロデューサーの立場からすると、それなりの売り上げを立てておく必要もある。または、自分が見込んだこの青年の実力を余すところなく伝えきるには、すでに裏打ちされた実力の持ち主じゃないと務まらないといった判断をしたのかも知れない。
どんな背景があったかは別にして、ジャコの才能と、プロデューサーの手腕が結実した最高傑作であり、これからもリイシューされ続けることは間違いない。
Word Of Mouth
Jaco Pastorius(1981)
- Crisis
- Three Views Of A Secret
- Liberty City
- Chromatic Fantasy
- Blackbird
- Word Of Mouth
- John And Mary
ビッグバンドの新しい形と可能性を提示した問題作。
アレンジャー/コンポーザーとして才能を発揮したセカンド作。
『ジャコ・パストリアスの肖像』に引き続き、ハービー・ハンコック、ウェイン・ショーター、ジャック・ディジョネット、ヒューバート・ロウズなど豪華キャストで臨んだセカンドアルバムはビッグバンド・スタイルである。とはいっても、ジャコが作ったビッグバンドは、これまでのビッグバンドとはひと味もふた味も違うのだ。
このアルバムの魅力は二つ。一つはハーモニカの第一人者、トゥーツ・シールマンスを大フィーチュアしていること。二つ目はジャコ・パストリアスというベーシストが、アレンジャー/コンポーザーとしてもその才能を遺憾なく発揮したことである。つまり聴き応え十分なことである。
オープニングの《クライシス》は終始フリーなインプロヴィゼーションが展開されるのだが、そのレコーディング方法は実にユニークなものだった。まず初めにジャコがすべてのベーシック・トラックを作る。その後、各人がジャコが作った音を聞きながら個別に録音。最後にスタジオワークで一つにまとめ上げたものだ。この曲に参加したアーティストのそのほとんどはスタジオで顔を合わせることはなかったという。
続く《スリー・ビューズ・オブ・ア・シークレット》は、もともとウェザー・リポートのアルバム『ナイト・パッセージ』(80年)のためにジャコが提供したワルツだが、ビッグバンド仕様となってスケール感が増すと同時に、トゥーツ・シールマンスのハーモニカが哀愁たっぷりに謳いあげる。起伏に富んだ曲の構成も素晴らしく、この1曲のためだけにこのアルバムを買っても損はしないでしょう。
続いて独特のベースラインとホーンアレンジが印象的な《リバティ・シティ》はこのアルバム以外でもジャコが好んで演奏した。さらにバッハの無伴奏チェロ組曲を素材とした《クロマティック・ファンタジー》~《ワード・オブ・マウス》までは終始フリーな展開で流れてゆく。特に、《ブラック・バード》のイントロはことに印象深い。クロージングはゴスペルとストリングスも加わって、壮大なスケールで臨む《ジョン&メリー》。
このアルバムは、ビッグバンドの新しい形と可能性を提示した問題作である。
Holiday For Pans
Jaco Pastorius (1993)
- Mysterious Mountain
- Elegant People
- Good Morning Annya
- She'S Leaving Home
- Holiday For Pans
- Giant Steps
- City Of Angels
- Birth Of Island
『ワード・オブ・マウス』に続く3作目のオリジナルアルバムは、死後6年を経て陽の目を見た。その内容はアルバム名が示すとおり、オセロ・モリノゥのスティールパン(スティールドラム)を中心に据えたオーケストラ。故郷フロリダで親しんだカリビアン・エッセンスを効かせた大作だ。ゲストもウェイン・ショーター、トゥーツ・シールマンス、ケンウッド・デナードらジャコとは旧知の仲間達が参加している。その後、このアルバムは1999年に無編集ボックスセットとしてリイシューされたが、どういうわけかTシャツのオマケ付きだった。
amazon
HMV
TOWER
2002年には生誕50周年記念として別ジャケ仕様の『コンプリヘンシブ・ブランニュー・エディション』(右)も発売されている。単なるリマスターではなく、微妙にリミックスされているので、ちょっとしたコレクターズ・アイテムかも。
The Birthday Concert
Jaco Pastorius(1995)
- Soul Intro / The Chicken
- Continuum
- Invitation
- Three Views Of A Secret
- Liberty City
- Punk Jazz
- Happy Birthday
- Reza
- Domingo
- Band Intro
- Amerika
自らの生誕30周年を記念して故郷フォートローダーディールのナイトクラブで行われたライブ。死後数年を経てリリースされた幻の音源だったが、その中身はファンを裏切らない力演が並ぶ。気の合う仲間同士リラックスした雰囲気の中で、ジャコも思い切り演奏している。バンドイントロでおどけたジャコの生声も聞ける。大きな会場でのライブである『TWINS I &II』と比べ、クラブ・ギグを収録した本作のほうがより身近にジャコを感じ取れるだろう。マイケル・ブレッカー、ボブ・ミンツァー両サックス奏者の聴き比べも楽しい。
amazon
HMV
TOWER
個人的には《SOUL INTRO/THE CHICKEN》《INVITATION》《DOMINGO》がオススメ。ジャコの演奏は絶好調そのもので録音も良く、クオリティが非常に高い。今は亡きマイケル・ブレッカーの名演の一つといえよう。右は『Florida Concert
』と題された別ジャケットのリイシュー盤。
Twins I & II
Jaco Pastorius(1999)
Disc-1
- Invitation
- Soul Intro / The Chicken
- Continuum
- Liberty City
- Three Views Of A Secret
- Sophisticated Lady
Disc-2
- Amerika
- Okonkole Y Torompa
- Reza / Giant Steps / Reza
- Elegant People
- Twins
- Pac-Man Blues (Fannie Mae)
- Eleven
1982年の日本で開催されたオーレックス・ジャズ・フェスティバルでのジャコ・パストリアス・ビッグ・バンドで来日した際のライブ盤2枚組。東京(武道館)、横浜(横浜スタジアム)、大阪(フェスティバルホール)で演奏されたベストテイクを収録したもの。2004年にはこのツアー中の東京公演の別日程を収録した『Donna Lee』もリリースされている。 当時のジャコはアルコールとドラッグにより、オフ・ステージの不名誉な記事で誌上を賑わせていたが、演奏そのものは絶頂を極めており、オープニングの一音で背筋に電気が走る。録音状況もよく、ベースの音圧に圧倒される。トゥーツ・シールマンスの演奏もオリジナルアルバム以上に素晴らしく、オセロ・モリノウのスティール・ドラムスも大きくフィーチャーされている。当初LPで日本国内のみでリリースされたこの音源は、しばらく封印されていたが、1999年、新しいジャケットデザインを与えられ初CD化。音質も非常によい。
amazon
HMV
TOWER
海外向けとして、オーレックス・ジャズフェスの音源に、ジャコ自ら編集して、1枚にまとめたのが『Invitation』(右)である。日本ほどのセールスが期待できないためにこの措置がとられたという。1980年から3年間続いたオーレックス・ジャズ・フェスティバルは、この年をもって終了した。1982年の来日の様子はEpisodeのページに掲載しています。
Donna Lee
Live at Budokan '82
Jaco Pastorius(2004)
- Liberty City
- Invitation
- Soul Intro / The Chicken
- Sophisticated Lady
- Elegant People
- Reza/Word Of Mouth/Giant Steps/Reza
『TWINS I&II』は1982年に複数の会場で行われたオーレックス・ジャズフェスティバル に参加した、ジャコ・パストリアス・ビッグバンドのベストトラックをまとめたものだったが、本盤は、9月1日東京公演(武道館)の模様を収録したもので『TWINS I&II』とは収録日が異なるものが含まれている。デヴィッド・バージェロンのチューバによるソロから《DONNA LEE》に続くオープニング。《LIBERTY CITY》でのランディ・ブレッカー渾身のソロ。ジャコ自身もノリにのっており、全盛を極めた時代のパフォーマンスを堪能できるのです。当日の武道館のプログラムでは《AMERIKA》《THREE VIEWS OF A SECRET》《OKONKOLE' Y TROMPA》を含む計10曲が演奏された模様。そのうち9曲が収録されたDVDも2005年にリリースされている。
Live at Berliner Jazztage
Recorded live at Berlin, Germany, November 2, 1979
Jaco Pastorius(2005)
- Continuum
- Misterious Mountain
- Teen Town
- Improvisation 1
- Broadway Blues
- Chromatic Fantasy
- Portrait Of Tracy
- Sophisticated Lady
- Slang
2005年ジャコのバースデー12月1日にリリースされた未発表音源は、1979年に行われたベルリンジャズ祭に出演した際のライブ音源を、ドイツのラジオ局が放送用に編集したもの。79年といえばウェザー・リポート在籍時であり、グループとしても人気の絶頂を迎えており、ジャコの音楽人生の中でも最も充実していた時期にあたるわけで、この時期に行われたソロライブの内容が悪いはずもなく、スリリングなインプロヴィゼーションは、晩年に多数リリースされたソロライブ盤とは明らかに一線を画するものだ。代表曲がずらりと並ぶソングリストも興味深い。中でも8曲目の《ソフィスティケイテッド・レディ》のみトゥーツ・シールマンスが参加しており、この共演が後の『Word Of Mouth』や『Twins I&II』その他の共演の契機となったと思うと、このイベントがもたらした功績は意外に大きかったことになる。《Slang》の後半でわずかにラジオDJのドイツ語のナレーションが入っているのはご愛嬌。
Live In New York
Jaco Pastorius & Word Of Mouth
Jaco Pastorius(2005)
- Soul Intro / The Chicken
- Three Views Of A Secret
- Continuum
- Liberty City
- Punk Jazz
- Mr. Phone Bone
- Reza/Giant Steps/Reza
- Amerika
『TWINS I &II』の舞台であるオーレックスジャズ祭より約2ヶ月前の1982年6月、ニューヨークで開催されたKOOLジャズ祭に出演したワード・オブ・マウス・ビッグバンドのステージを収録したもの。ということで購入したが、ジャケットのチープさもさることながら、ライナーの一枚も入っておらず、見るからにブートレグの様相。ライブ盤にしてはオーディエンスの盛り上がりがカットされているなど不自然さがあり、音質的にも『TWINS I&II』等の正規盤に比べ、ダイナミックレンジが乏しい。とはいえ、聞けないレベルではない。出演メンバーだって、トゥーツ・シールマンス、ボブ・ミンツァー、ランディブ・レッカー、オセロ・モリノウをはじめとしたオーレックスとほぼ同じメンバー。《ソウル・イントロ/ザ・チキン》《スリー・ビューズ…》《リバティ・シティ》《レザ/ジャイアント…》はこれまで店頭リリースされたことがない音源だし、演奏内容だって正規盤と肩を並べる。《ミスター・フォーン・ボーン》は『ライブ・イン・モントリオール(DVD)』でしか聴けなかったが、このビッグバンドで演奏されたバージョンもオススメだ。《コンティニューム》《パンク・ジャズ》《アメリカ》はどうなのかって?…この3曲は『バースデイ・コンサート』と同内容でした。
The Players Club
Jaco Pastorius(2007)
- Dexterity / Donna Lee
- Nefertiti
- Stella By Starlight
- Freedom Jazz Dance
- Kuru / Speak Like A Child
- Dolphin Dance
- Continuum
- Portrait of Tracy / Okonkole Y Trompa / Early Slang
没後20周年にあたる2007年末に日本先行でリリースされた72分のライブ音源。このライヴはジャコがWR在籍中の1978年、WRのツアーの合間を縫って、フロリダのオークランド・パークにあるクラブ「ザ・プレイヤーズ・クラブ」で行われた、妻のトレイシーの誕生日を祝うライヴを収録したもの。メンバーは『ジャコ・パストリアスの肖像』にも参加したアレックス・ダーキィ(key)と、ジャコがメジャーデビュー前に在籍したバンド、ラス・オラス・ブラスのドラマー、リッチー・フランクス(ds)。当時、彼が入団したのでジャコはドラムからベースに転向したといわれている。ジャコが参加のピアノトリオといえば、スタジオ録音盤としてのラストレコーディングと言われてる『スタンダード・ゾーン』があるが、晩年のジャコのプレイは精彩を欠き、聴いていて悲しくなる。本作は1978年の録音ということで、変な言い方だがジャコが“安定した状態”で演奏している点で『スタンダード・ゾーン』に大きく水を開ける。 収録されているのは《ドナ・リー》、《コンティニューム》、《クル?スピーク・ライク・ア・チャイルド》などジャコの代表曲と、《ステラ・バイ・スターライト》、《フリーダム・ジャズ・ダンス》などのスタンダード。曲によってソロやドラムとのデュオ、またはトリオで聴かせてくれる。ライブならではの聴衆のざわめきがやや気になるが録音のクオリティは許せる範囲。一つ難点を言えばカバージャケットかな?
Jaco Pastorius The 60th Anniversary Collection
Jaco Pastorius(2011)
Disc-1
Word Of Mouth
- Three Views Of A Secret
- Liberty City
- Chromatic Fantasy
- Blackbird 6. Word Of Mouth
- John and Mary
Disc-2
Twins I
- Invitation
- Soul Intro / The Chicken
- Continuum
- Liberty City
- Three Views Of Secret
- Sophisticated Lady
Disc-3
Twins II
- Amerika
- Okonkole Y Torompa
- Reza / Giant Steps / Reza
- Elegant People
- Twins
- Pac-Man Blues (Fannie Mae)
- Eleven
Disc-4
Invitation
- Invitation
- Amerika
- Soul Intro / The Chicken
- Continuum
- Liberty City
- Sophisticated Lady
- Reza / Giant Steps / Reza
- Pac-Man Blues (Fannie Mae)
- Eleven
Disc-5
Birthday Concert
- Soul Intro / The Chicken
- Continuum
- Invitation
- Three Views Of Secret
- Liberty City
- Punk Jazz
- Happy Birthday
- Reza
- Domingo
- Band Intro
- Amerika
Disc-6
The Jaco Solo Tracks
- Tokyo 1978(11:25)
- Reading 1978(11:24)
- Tokyo 1980(8:31)
- London 1980(12:02)
- Fort Lauderdale 1981(8:47)
- Band Intro Fort Lauderdale 1981(2:48)
- Warming Up Fort Lauderdale 1981(0:37)
- Domingo Fort Lauderdale 1981(5:21)
ジャコの生誕60周年記念としてリリースされたスペシャル・ボックス・セット。ワーナー・レーベルからリリースしたセカンド・アルバム『ワード・オブ・マウス』以降の5作品と、未発表のベースソロ音源のみを収録した1作品の6枚組CD(オリジナル・デザイン紙ジャケ仕様)と、ジャコが長年使用していた愛器、通称「ベース・オブ・ドゥーム」のフィギュア(フェンダー社公認)をセットにしたもの。右の写真がその試作モデル。各アルバムのディスク・レヴューのほか、初公開となる写真も多く掲載されている72ページの豪華なライナーも同梱されている。監修はもちろん松下佳男氏。
<Disk-1>~<Disk-5>については、各々のディスクレヴューがあるので割愛するとして、今回の目玉は何と言っても未発表音源のみを集めた<Disc-6>である。ピーター・アースキン所蔵の音源を、アースキン自身がプロデュースした。ウェザーリポートが1978年に東京とペンシルヴァニア州レディングで行った公演、そして、1980年の東京とロンドン公演から各1トラックずつ、1981年のフロリダ州フォート・ローダーデイルのライブ(『バースデイ・コンサート』)未発表音源からは、バンドイントロを含めた4トラックを収録。このうち≪ドミンゴ≫はジャコのベース音のみ 聞こえる貴重なテイクという。これらは、長年アースキンが大切に保管していた本当の意味での蔵出し音源である。アースキンはライナーノーツに回顧録を寄稿しており、ジャコとの濃密な想い出を記した。
2007年にリリースされたアーリー・イヤーズ・レコーディングス」のフィギュア付きアルバム以来、久々の完全限定生産品のためコレクター・アイテムとして大きな話題となった。