Trilogue - Live!
Albert Mangelsdorff - JacoPastorius - Alphonse Mouzon (1976)
- Trilogue
- Zores Mores
- Foreign Fun
- Accidental Meeting
- Ant Steps On An Elephant's Toe
ドイツのトロンボーン奏者、アルバート・マンゲルスドルフが、ザー・リポートの初代ドラマーであったアルフォンス・ムザーン(ds)とジャコのトリオで出演した1976年のベルリン・ジャズ祭でのライブセッション。
マンゲルスドルフはこのジャズ祭で共演するベーシストをアコースティックベース奏者に限って探していたが、世界的なジャズ評論家、ヨアヒム・E・ベーレントを介して当時まだ無名のジャコの音源を聴いてオファーを出したという。ジャコはウェザー・リポートのメンバーとして活動を始めていたが、ザヴィヌルの許可によりこの共演が実現した。第一線に登場しつつあった25歳のジャコと、奇才マングルスドルフの白熱のインタープレイが楽しめる。ジャコに参加作品のなかでも異彩を放っている。
Bright Size Life
Pat Metheny (1976)
- Bright Size Life
- Sirabhorn
- Unity Villege
- Missouri Uncompromised
- Midwestern Nights Dream
- Unquity Road
- Omaha Celebration
- Round Trip / Broadway Blues
1972年にマルチ楽器奏者アイラ・サリバンのマイアミ大学でのジャズクリニックに同行していたジャコはパット・メセニーと出会い、ボストンで何度かセッションを行った後にドイツに渡り、パットのデビュー作の収録に参加した。ジャコ自身のデビュー作とほぼ同時期の録音で、いかにもECMらしい音作りとなっている。フォークやカントリーの土臭さも入り混じったパットの音楽の中でジャコはサポートに徹している。中でも私がイチオシのプレイはオーネット・コールマンの作品《ROUND TRIP / BROADWAY BLUES》だ。現代におけるジャズギター最高峰と、エレクトリックベースの革命児との共演という意味でも興味深い一枚である。ジャコとパットは後にジョニ・ミッチェルのアルバム『Shadows And Light』でもプレイしている。
Hejira
Joni Mitchell (1976)
- Coyote
- Amelia
- Furry Sings The Blues
- A Strange Boy
- Hejira
- Song For Sharon
- Black Crow
- Blue Motel Room
- Refuge Of The Roads
ウェザー・リポートの仕事をする合間に、ジャコはフォークシンガー、ジョニ・ミッチェルと4枚ものコラボレート作品を残している。その最初の1枚が『Hejira』だ。ジャコは4曲に参加しているが、一聴して分かるジャコの音はここでも存在感を示す。もちろん、ジョニミッチェルの高レベルの音楽性、世界観を損ねることなく寄り添うフレットレスベースは実に相性が良い。中でも#1《COYOTE》、タイトル曲《HEJIRA》の独特のベーストーンが印象に残る。これらは後に発売された究極のライブ盤『Shadows And Light』(下に掲載)でさらに至高へと達する。
1970~80年の彼女の作品にはジャコのほかトム・スコット、ラリー・カールトンをはじめ、ジャズミュージシャンが多く参加している。
Don Juan's Reckless Daughter
Joni Mitchell (1977)
- Overture - Cotton Avenue
- Talk To Me
- Jericho
- Paprika Plains
- Otis And Marlena
- The Tenth World
- Dreamland
- Don Juan's Reckless Daughter
- Off Night Backstreet
- The Silky Veils Of Ardor
ボーカル&ギターのみ、またはそこにベース、ドラムが加わるだけのシンプルな曲が多いがそれぞれに味わい深い。このアルバムの中で一際異彩を放っているのは、オーケストラと共演した16分を超える組曲《Paprika Plains》だ。ジョニのピアノの弾き語りから一転ウェイン・ショーターのソロで締めくくる。バックでジャ地を這うようなベースの音がダークだ。このアルバムの二つ目のハイライトはジャコがパーカッションで参加した《The Tenth World》、ヴォーカルと複数のパーカッションのみの《Dreamland》、パーカッシブベース奏法が斬新でカラフルな《Don Juan's Reckless Daughter》まで。ヴォーカルを浮き彫りにするシンプルな曲と構成。ジャコの人脈と思える多くのサポートを得た珠玉の名作。ジャコのベースを存分に楽しめる超オススメの一枚。
Everyday, Everynight
Flora Purim (1978)
- Everyday, Everynight
- Samba Michel
- The Hope
- Five-Four
- Walking Away
- I Just Don'T Know
- In Brasil
- Las Olas
- Blues Ballad
- Overture
- Why I'm Alone
フローラ・プリムは第一期リタ-ン・トゥ・フォーエヴァーで活躍後、ソロ活動でもその官能的な歌声で独自の世界を作り上げ、人気を博している。本作ではジャコが4曲参加しており、ジャコが作曲し、後に多くのアーティストがカヴァーしている《ラス・オラス》のオリジナルバージョンが収められている。ジャコ以外にもアルフォンソ・ジョンソン、ジョージ・デューク、ランディ・ブレッカー、デイビッド・サンボーン、ハービー・ハンコック、夫でもあるアイアート・モレイラなど数多くのスタープレイヤーが集ったのも見逃せない。楽曲の多くはフランス人コンポーザー、ミシェル・コロンビエの作品を中心に構成されている。70年代の空気が感じられるブラジリアン・フュージョン。長年再発売が待たれていたが、2002年国内盤としてリイシューされた。
Mingus
Joni Mitchell (1979)
- Happy Birthday 1975
- God Must Be A Boogie Man
- Funeral
- A Chair In The Sky
- The Wolf That Lives In Lindsey
- I's A Muggin'
- Sweet Sucker Dance
- Coin In The Pocket
- The Dry Cleaner From Des Moines
- Lucky
- Goodbye Pork Pie Hat
共作のベース奏者チャールズ・ミンガスが製作段階で亡くなるという不幸に見舞われ、故人の曲に詩を付け、追悼という形で発売の予定だったった。ミンガス夫人が録音していたオフステージの肉声を曲間に挿入し、“間”が生きた演出も追悼盤に相応しい。参加メンバーはジャコのほか、ハービー・ハンコック、ウェイン・ショーター、ピーター・アースキンら。ジャコお得意のホーン・アレンジが光る《Lucky》以外は、全てがバーラードで、ジョニ・ミッチェルの哀感に満ちたヴォーカル(ギター)もさることながら、全員の音の一つひとつが無駄のない研ぎ澄まされたものになっている。フレットレスベースが最大限に生かされた《Goodbye Pork Pie Hat》は、私がまだジョニ・ミッチェルの名前を知らなかった時代に、ラジオから流れたベースの音で「ジャコだ」とすぐ分かったほど、強烈に心に残っている。ジャケットを飾る絵は美術的才能にも恵まれた彼女自身の手によるものだ。
Shadows And Light
Joni Mitchell (1979)
Disc-1
- Introduction
- In France They Kiss On Main Street
- Edith And The Kingpin
- Coyote
- Goodby Pork Pie Hat
- The Dry Cleaner From Des Moines
- Amelia
- Pat's Solo
- Hejira
Disc-2
- Black Crow
- Don's Solo
- Dreamland
- Free Man In Paris
- Band Introducion
- Furry Sings The Blues
- Why Do Fools Fall In Love
- Shadows And Light
- God Must Be Boogie Man
- Woodstock
1979年サンタ・バーバラ・カントリーボールで行われた屋外ライブ。ジャコのほかマイケル・ブレッカー、パット・メセニー、ライル・メイズ、ドン・アライアスとメンバーも申し分なし。ブレッカーはウェイン・ショーターが契約都合で出ることができない(ウェザー・リポートから所属メンバー2人が他のアーティストのサポートメンバーとして出演できないというもの)のために抜擢されたという(このライブ出演が契機となって後年のメセニー、ブレッカーの共演が生まれている)。私の好きな演奏は#2《IN FRANCE THEY KISS ON MAIN STREET》、#4《COYOTE》。全編を通してベースの音をしっかりと拾っており、とてもいいサウンドが響く。#7《AMELIA》~#9《HEJIRA》がこのアルバムのハイライト。ジョニの歌唱&ギターはもちろん素晴らしいのだが、メセニーの初々しいプレイ、普段はドラムは叩かないアライアスのプレイなど聴き所も多い。このアルバムにはDisk-2-#1、#2、#4を省いたオール・イン・ワンの輸入盤もあるが、国内盤2枚組がオススメ。 このほか、CDには収録されなかったジャコのベースソロを収めたDVD作品がある。
Michel Colombie
Michel Colombie (1979)
- Sunday
- Take Me Down
- Dream Land
- Queens Road
- Overture
- Bird Song
- Layas
- Do It
- Spring
- The Dancing Bull
- Autumn Land
フランス人作曲家でアレンジャー、映画音楽を生業としていたミシェル・コロンビエのソロアルバム。ほとんどの曲でジャコがプレイしている点でもコレクターズアイテムとなっている。ハービー・ハンコック、マイケル・ブレッカー、ランディ・ブレッカー、スティーブ・ガッド、リー・リトナーetc...書ききれないほど当時のフュージョンシーンのスタープレイヤーが名を連ねた豪華なアルバムで、緻密なタッチの小作品が並ぶ。中でも後に『夜の彷徨い』で大ブレイクするラリー・カールトンのプレイにも注目すべきものがある。このアルバムも再発が叶わず長年探していたが、1999年輸入盤CDとして復刻。コロンビエとジャコのコラボレートで知られたところではフローラ・プリムの『Everyday Everynight』がある。
Music For Planets, People & Washing MachiInes
Randy Bernsen (2004)
- Conehead Bop
- Olde Hats
- My Fanny Valentine / I Shot The Sheriff
- Steppin
- Sir Yellow Bird
- Sundance (Abra Dancer)
- Wind Song
発表当時は無名だったギタリスト、ランディ・バーンセン1984年のデビュー作。ジャコ、ハンコックらがバックアップしたということで、復刻が待ち望まれていた一枚。他にピーター・アースキン、ボブ・ジェームス、ピーター・グレイブス、アレックス・ダーキィなどが参加 した。「Othelo」とクレジットされたスティールパン奏者はジャコとは旧知のオセロ・モリノウであろう。少し笑える3曲目を除き、他は全てオリジナル曲で臨んだ意欲作。ジャコ参加の《OLDE HATS》はブラスアンサンブルとスティール・パンを効果的に融合させたいかにもジャコ向きの一曲。WRを意識した味付けも垣間見え、《WIND SONG》は《ハボナ》のフレーズ引用したイントロでジャコの参加を意識した演出。ジャコ参加以外の曲でもベースの音量は以外と大きく感じられる。ギターの才能はジョー・ザヴィヌルにも認められた実力者ということで折り紙付き。1988年には《コンティニューム》を収録のジャコへのトリビュート盤『Paradise Citizens』を製作している。
Herbie Hancock With Jaco Pastorius
Jaco Pastorius(2005)
- Cantaloupe Island
- Hang Up Your Hang Ups
- Maden Voyage
- Jaco Bass Solo
- People Music
- Chameleon
1977年のライブ音源。ハービー・ハンコック(キーボード)、ベニー・モウピン(サックス)、ジェームズ・レビ(ドラム)にジャコが加わったもの。スケジュールが合わなかったポール・ジャクソンの代役で「ヘッドハンターズ」にジャコが参加した形。デビューアルバムでの共演が縁での起用であろう。既にWRへの加入し、ビッグネームの仲間入りを果たしたジャコだが、ハービーのバンドではサイドマンに徹している。それでも所々にお得意のフレーズが顔を出す。バンドイントロをオープニングとした《HANG UP YOUR HANG UPS》でのモウピンのキレたソロ。ベース、キーボードのみの「処女航海」など聞き所は随所に。最も興味をそそるのは、ラストを飾る「カメレオン」か。ライブならではの長尺ものの演奏となっているが、ジャコの加入でオリジナルとはまたひと味違った印象で、これもまた良し。9分にも及ぶベースソロは、WR時代のソロパフォーマンスと同様に、ディレイマシーンを用いたもの。オーディエンス録音なのか音質はそれほど良いとはいえない。
Trio Of Doom
Trio Of Doom (2007)
- Drum Improvisation [Live]
- Dark Prince [Live]
- Continuum [Live]
- Para Oriente [Live]
- Are You the One, Are You the One? [Live]
- Dark Prince [Studio]
- Continuum [Studio]
- Para Oriente [Alternate Take 1]
- Para Oriente [Alternate Take 2]
- Para Oriente [Studio]
ジョン・マクラフリン(g)、ジャコ・パストリアス(b)、トニー・ウィリアムス(ds)からなる「トリオ・オブ・ドゥーム」の演奏といえば、1979年にキューバで行われたライブを収録した『Havana Jam I』と『Havana Jam II』しかなかった…と思いきや、お蔵入りになっていた同じメンバーで演奏されたスタジオ録音と、正真正銘の未発表ライブ音源とともにアルバムとして陽の目を見たのが本作である。しかも、これまでライブとされたいた音源が、実はスタジオ録音にオーディエンスをオーヴァーダブしたものだったことを公式に認めるという異例の展開を見せた作品となった。
トニー・ウィリアムスの変幻自在なドラムミングや、マクラフリンの独特の音色もさることながら、ライブでの三人のインタープレイは素晴らしく、当時なぜお蔵入りになったのか。ソングリストからもわかるように同じ曲をライブバージョンとスタジオ録音バージョンで楽しめるのは嬉しいが、やはりライブ演奏のほうが圧倒的に良い。特筆すべきはエレピの変わりにギター一本が加わるだけでまったく別の表情を見せた《コンティニューム》。ベースソロもこの時代の好調さを物語るもので、ファンにはたまらない演奏であろう。
Source
Bob Mintzer (2007)
- Late Night with You
- Don't Lock the Door
- The Source
- I Don't Know
- Mr. Fone Bone
- Centering
- Spiral
ジャコ・パストリアス・ビッグ・バンドではミュージカルディレクターを任されるなど1980年代にジャコと数々の共演を果たしたサックス奏者ボブ・ミンツァーのセカンドアルバム(1985年作品のリイシュー)。ランディ・ブレッカー(tp)、ドン・グロルニック(key)、ウィル・リー(b)、トム・バーニー(b)、マノーロ・バドレーナ(per)らが参加。ジャコは#4《I Don't Know》、#7《Spiral》で参加(#7では短いながらもベースソロあり)。リードヴォーカルを務めたAOR風の#1《Late Night with You》や、スイングする#5《Mr. Fone Bone》は、ビッグバンドのアンサンブルに長けたミンツァーらしいホーン・アレンジメントが冴える。#5は『Live In New York』や『Jaco Pastorius Live In Montreal』でジャコがベースを弾いたバージョンが残っているが、いずれもライブバージョンである。この後ミンツァーはコンテンポラリージャズ・ユニット「イエロー・ジャケッツ」のリーダーとして意欲作を発表していくのです。